交差点の手前などで道路に白の斜線が引かれた「ゼブラゾーン」。
右折レーンの手前などに多く設置されていますが、「入ってはいけない場所」と誤解して無理に避けて運転しているドライバーも少なくありません。
しかし、実はゼブラゾーンの上を通行すること自体は法律違反ではなく、道路交通法上は走行が認められています。
ただし、「違反ではないから」と無闇に走り抜けるのは極めて危険であり、深刻な接触事故やトラブルの引き金になりかねません。今回はゼブラゾーンの正しい法的意味、事故が起きた際の過失割合の判例、そしてトラブルを防ぐ安全な運転マナーについて解説します。
ゼブラゾーンの交通規定

「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令」によれば、ゼブラゾーン(正式名称:導流帯)は、「車両の安全かつ円滑な走行を誘導する必要がある場所」に設置される指示標示です。
複雑な交差点や車線数が変化する場所で、車が自然な軌跡を描いてスムーズに通行できるようガイドする目的で設けられています。
黄色い縁取りのある「立入禁止部分」や人が待避する「安全地帯」とは異なり、車両の進入を法的に禁じる規制標示ではないため、ゼブラゾーンの上を通行しても罰則や反則金が科されることはありません。
直進レーンからゼブラゾーンをまたいで右折レーンへ進入すること自体は合法ですが、本来の「円滑な誘導」という趣旨を無視して猛スピードで追い越しに利用するような行為は危険運転につながります。
ゼブラゾーン事故の場合の過失割合

最も多発する事故パターンが、「ゼブラゾーンを避けて走行し、ゼブラゾーンが終わった地点で右折レーンに進路変更した車」と、「手前からゼブラゾーン上を直進してきた後続車」の接触事故です。
基本の過失割合は「70対30」
判例タイムズ等の基準において、同一方向へ進行する車同士の進路変更事故では、「進路変更車(ゼブラを避けた車):70」「後続直進車(ゼブラ上を走ってきた車):30」が基本過失割合とされています。
ゼブラゾーン通行に罰則がない以上、法的には「直進車」として扱われるため、進路変更時の後方確認義務を怠った側の過失が大きくなるのが原則です。
ただし、ゼブラ走行車に「過失加算」される判例もある
ここで注意しなければならないのは、「直進車だから絶対に有利とは限らない」という点です。
過去の裁判例(東京地裁平成19年2月27日判決など)では、導流帯の設置趣旨に反して漫然と進入・走行していた点や、他車の予見しにくい走行態様であった点を重視し、ゼブラゾーン走行車両側に対して10〜20%程度の過失加算(修正要素)を認めたケースが複数存在します。
つまり、状況によっては過失割合が「60対40」や「50対50」へと修正され、ゼブラゾーンを走っていた側にも相応の責任が問われるリスクがあるのです。
安全な走行のために心がけるべきこと

ゼブラゾーンの通行は合法ですが、「法律上問題ないから」と強引に直進したり、車線変更してくる車をクラクションで威嚇したりするのは、あおり運転や交通トラブルを招く危険な行為です。
運転時には、以下の安全意識を常に持つことが求められます。
・「避けて入ってくる車がいる」前提で減速する:ゼブラゾーンを直進して右折レーンに入る場合は、隣の車線から急に進路変更してくる車を予測し、いつでも停止できる速度まで減速する。
・進路変更時は死角をしっかり目視する:ゼブラゾーンを避けて右折レーンに入る場合は、ミラーの死角にゼブラ上を走る後続車がいないか、斜め後方を必ず目視確認する。
最後に
今回は誤解されやすい「ゼブラゾーン(導流帯)」の交通ルールと過失割合について解説しました。
過失割合の知識も重要ですが、ドライバーにとって最も大切なのは「事故そのものを未然に防ぐこと」です。たとえ過失割合で相手側が重くなったとしても、事故を起こせば怪我のリスクや修理の手間、精神的な負担など、失うものは計り知れません。
「相手が止まるだろう」「見てくれているはずだ」という油断を捨て、常に相手の動きを予測して譲り合うディフェンシブ・ドライビング(防衛運転)こそが、自身と大切な愛車を守る最善の運転スタイルです。
お互いに思いやりのある運転で、安全なカーライフを送りましょう。


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