朝の通勤時間帯に、道路の路肩に停車して、休憩しているトラックをみたことはありませんか!?
長い列のようになって駐車したトラックの中で休憩しているドライバー。
そんな光景を目にしたことは、誰でもあるのではないでしょうか!?
「なんでこんなところでサボってるんだ!?」
と、思うかもしれませんが、トラックのドライバーはサボっているわけではないのです。
そこで今回は、トラックが道路の路肩で止まって休んでいる理由について説明していきます。
トラックのドライバーには守るべきルールがある
トラックのドライバーの仕事は、ただトラックを運転するだけではなく、荷物を安全確実に時間通りに搬入することです。
予定の時間に遅れて到着することを「延着」といいます。
「延着」は、トラックドライバーにとって絶対にしてはいけないミスです。
「延着」は、運搬途中で荷物を倒してしまう荷崩れと同じように、損害賠償を請求されるケースもあるため、トラックドライバーは絶対に避けたい契約内容なのです。
現在大型トラックには、スピードリミッターを取り付けることが義務化されているのため、どんなに急いでも時速90キロまでしか出せないという物理的な制限があります。
そのため、トラックドライバーは、慎重に時間配分しながら走行しなくてはいけません 。
また、「延着」しなければ良いというわけではなく、早く到着しすぎてしまう「早着」もこの業界のルールでは御法度とされています。
トラックが荷物を搬入出する時間帯は、早朝のことが多いですが、搬入出先が業務を開始 する前にトラックが到着してしまうと、当然ですがトラックは搬入先の構内に入ることはできません。
また、搬入出先で円滑に作業するため、搬入出のトラックが複数ある場合には、トラックを受け入れる 順番が決められていることもあります。
そのため、到着時間を守らず「早着」してしまうと、搬入出の順番を狂わせてしまうことになり、搬入出先に迷惑をかけてしまいます。
「早くついてしまったら時間まで周辺で待機すればいいのでは!?」
と、思うかもしれませんが、近隣への迷惑になるため、禁止されていることが多いのです。
こうした事情から、トラックドライバーは分単位で指定されている搬入時間を厳密に守らなくてはいけません。
そのため、トラックドライバーは搬入先から離れた場所で休憩したりして、 到着時間を調節する必要があるのです。
時間通りに到着できたとしても、搬入出作業の遅れなどにより、自分の番が回ってくるまでに時間が空いてしまうこともあります。
そのような場合も、やはり搬入先から少し離れた場所で待機する必要があるのです。
トラックが路上で休憩しているのには、このような理由があったのです。
さらに、この業界には「改善基準」という、労働基準法のようなルールがあります。
「改善基準」よって6時間の 連続走行ごとに30分の休憩が義務付けられています。
そのルールに従って休憩をとっている場合もあるのです。
トラックが道路の路肩で休憩している理由をまとめると
- 搬入出先に遅れて到着する「延着」は御法度
- 搬入出先に早く到着する「早着」も御法度
- 早く到着した場合、搬入出先周辺での待機は禁止されている
- 時間通り到着しても待機が発生する場合がある
- 「改善基準」により6時間の 連続走行ごとに30分の休憩しなければならない
トラック専用スペースの一般車両利用は止めるよう
普段はやむを得ず路上で休憩や紙をとっているトラックドライバーにとって、トラック専用の駐車スペースを設けているコンビニの存在は、非常にありがたいものなのです。
都心ではあまり見かけることはありませんが、郊外や高速道路の入口付近などにある、広い駐車場持つコンビニには、トラッグ専用レーンが設けられていることがあります。
トラッグ専用レーンであれば、一般車両の邪魔になることもなく、コンビニで食料やドリンクを調達することも、トイレを借りることもできるため、トラックドライバーにとってはオアシスのような休憩スポットなのです。
ところが、せっかくトラック専用の駐車スペースがあっても、そこに一般車両が止まっ ていると、トラックが駐車できません。
分刻みの時間調整をしながら、徹夜明けにやっと見つけたトラックが駐車できるコンビニで、トラック専用レーンを一般車両が占領しているのを見たドライバーの落胆は、想像を絶することでしょう。
今でこそ、大型トラック専用の駐車スペースを設置しているコンビニができていますが、一昔前は多くのコンビニが大型トラックお断りの方針でした。
この様な時代の変化は、トラックドライバーにとって非常に有り難い変化となっています。
トラック専用レーンのあるコンビニの数はまだまだ不足しています。
本当は都心や住宅地などの道が狭い場所にこそ必要な施設です。
現状では、トラックが休憩できる専用スペースというものがあまりないため、道路の路肩に 止めてという手段をとるしか方法がないわけです。
通勤や通学でそこを通る人にとっては、少し迷惑に思えるかもしれませんが、様々な事情によってトラックドライバーにもどうすることもできない部分があります。
改正道路交通法により、街にはコインパーキングが急増しましたが、コインパーキングには大型車両用のスペースがないことがほとんどです。
私たちの生活、そして日本の物流を支えているトラックドライバーの労働環境は、もっと改善されるべきですね。
最後に
トラックドライバーが、道路の路肩に止めて休憩しているのには、このような理由があったのです。
苦しい事情があるとはいえ、路上駐車に変わりはないため、時には取り締まりの対象になってしまうこともあります。
トラックドライバーが働きやすくなるような、技術進歩や環境改善がより一層求められています。
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