車の中に車検証の原本を置いておくと、車上荒らしや盗難のときに悪用されそうで不安になる。そこで「コピーを車に積んで、原本は家に保管してもいいのでは」と考える人は少なくありません。
結論から言うと、車検証は原本を車に備え付ける必要があり、コピーだけでは足りません。電子車検証になっても、この点は変わりません。この記事では、根拠の条文、罰則、電子車検証の注意点、そして防犯との現実的な折り合いのつけ方を整理します。
結論:コピーだけを積んで走るのは違反になる
道路運送車両法第66条第1項は、次のように定めています。

「自動車は、自動車検査証を備え付け、かつ、国土交通省令で定めるところにより検査標章を表示しなければ、運行の用に供してはならない。」
ここでいう「自動車検査証」は、運輸支局や軽自動車検査協会が交付した原本のことです。コピーや写真は自動車検査証そのものではないため、備え付けたことにはなりません。
違反して運行した場合は、同法第109条第9号により、50万円以下の罰金の対象となります(e-Gov法令検索の条文で確認)。罰金の上限額であり、実際の処分は事案ごとに異なります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 根拠条文 | 道路運送車両法第66条第1項(備付け義務) |
| 罰則 | 第109条第9号:50万円以下の罰金 |
| コピー・写真・スクリーンショット | 備え付けたことにならない |
電子車検証でも原本の備付けは必要
車検証は電子化され、登録車は2023年1月から、軽自動車は2024年1月から、ICタグ付きの電子車検証が交付されています。サイズはA6判程度に小さくなり、記録事項の多くはICタグに記録されています。
ただし、備付け義務の対象は電子車検証そのものです。次のものだけを積んでいても、備え付けたことにはならないとされています。
- スマートフォンの「車検証閲覧アプリ」の画面や、そのスクリーンショット
- 電子車検証と一緒に渡される「自動車検査証記録事項」の紙(A4)
闇車検の実態の記事でも触れているとおり、車検証は車の身元を示す書類です。検査標章(車検ステッカー)の表示とあわせて、備付けの確認は欠かせません。
「コピーでも大丈夫だった」という話が広まる理由
街頭での検問や職務質問では、まず運転免許証の提示を求められることが多く、車検証まで細かく確認されない場面もあります。コピーを見せて注意だけで済んだという話があっても、それは現場の対応にすぎず、適法になったわけではありません。

一方、事故を起こして警察の実況見分を受けるときや、保険の手続きなどでは、車両や自賠責保険の確認のために車検証を求められます。そのときに提示できなければ、手続きが滞るおそれがあります。
防犯が心配なときの現実的な対策
車検証が車内にあると、悪用されるのではないかという心配はもっともです。ただ、名義変更や売却には、車検証以外にも印鑑証明書、実印、委任状などの書類が必要になるのが一般的で、車検証だけで車を勝手に売られる可能性は高くないとされています。

それでも気になる場合は、次のような工夫が現実的です。
1. 車検証ケースに入れて、外から見えない場所に置く:グローブボックスのほか、シート下やドアポケットなど、車外から見えにくい場所を選ぶ
2. 貴重品と一緒に放置しない:車を離れるときは、財布や書類の入ったバッグを車内に残さない
3. 駐車場所を選ぶ:人目のある、照明のある場所に停める
4. 盗難対策の道具を併用する:ハンドルロックなどの物理的な対策も有効(車上荒らしの手口はダッシュボードの工具の記事も参考に)
紛失・汚損したとき
車検証をなくしたり、破れたりしたときは、再交付を受ける必要があります。登録車は運輸支局、軽自動車は軽自動車検査協会が窓口です。必要書類や手数料は変わることがあるため、事前に窓口で確認してください。再交付を受けるまでの間の運行は避けましょう。

よくある質問
Q. 免許証のように、持っていなかったら反則金で済みますか?
車検証の備付けは、反則金制度ではなく、前述の罰金の規定があります。免許証の不携帯とは扱いが異なるため、軽く考えないほうが安全です。
Q. 車検証を車から降ろして家に保管してもいいですか?
運行するときに車内に備え付けていなければ、備付け義務に違反します。駐車中に車検証を外しておき、運行前に必ず車に戻す、という方法を取る人もいますが、戻し忘れが違反に直結するため、車内の見えない場所に常備するほうが確実です。
Q. レンタカーやカーシェアでは?
車検証は通常、車内に備え付けられています。取り扱いは事業者のルールに従ってください。
まとめ
- 車検証は原本を車に備え付ける義務があり、コピーだけでは足りない(第66条第1項)
- 違反すると50万円以下の罰金の規定がある(第109条第9号)
- 電子車検証でも、アプリ画面や記録事項の紙だけでは備付けにならない
- 防犯は、見えない場所への保管や車を離れるときの管理で対応する

情報源
- 道路運送車両法(e-Gov法令検索)第66条第1項・第109条第9号。条文は2026年10月に確認
- 国土交通省「電子車検証」の案内(mlit.go.jp)。電子車検証の交付時期や備付けの扱いは、同省の最新の案内でご確認ください
- 手数料や窓口の運用は変わることがあります。2026年10月時点の情報に基づきます。


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