軽自動車は、日本でも売れ筋ナンバー1の独自規格ですが、海外でも需要があるように思います。
低燃費で安価、そして高性能で高品質、日本グレードの安全性、これだけ優れたパッケージであれば海外でも受けるはずです。
しかし実際には、軽自動車は海外へあまり輸出されていません。
いったい何故、軽自動車が輸出されていないんでしょうか。
今回は、軽自動車が輸出されない理由について説明していきたいと思います。
日本独自の規格である軽自動車
軽自動車は、法令で明確に区別されており、1998年10月に改訂された現行の規格は次のとおりです。
- 全長3,400mm以下
- 全幅1,480mm以下
- 全高2,000mm以下
- 排気量660cc以下(出力は自主規制64psまで)
- 定員4名以下
- 貨物積載量350kg以下
軽自動車が普及するようになったのは、戦後しばらくして、自動車の所有が大衆化してからだと言われています。
当初はもっと小型の企画だったそうですが、その後に車体の大きさと排気量についても緩和されました。
小型でありながら、3気筒または、4気筒のDOHCターボエンジン搭載車や、近年ではハイブリッド車も登場しています。
衝突安全基準についても、普通自動車と同じレベルを達成しており、ユーザーにとって、軽自動車は小型自動車と比べて遜色がない存在になりました。
また、軽自動車は税金などの経費が安いため、小型自動車と能力に差がない現実では、軽自動車を選択するユーザーも少なくないのです。
軽自動車が輸出されない理由
国内でも、かなりのシェアを占めている軽自動車ですが、海外で普及していないのには理由があるのです。
軽自動車に乗る必然性がない
最大の原因と考えられているのが、軽自動車にあたるような企画が海外にはあまり存在しないことです。
もともと軽自動車が日本でなぜ普及し誰かと言えば、普通自動車より性能は劣りますが、販売価格も税金も安いというのが大きな理由でした。
しかし、日本の軽自動車を輸入販売したとしても、海外には日本と同じような軽自動車に対する税制上の優遇処置などはありません。
他国のユーザーにとってみれば、性能の劣る自動車、すなわち日本の軽自動車をあえて購入するメリットを感じないのでしょう。
また、軽自動車は排気量が小さいので、その分燃費が良いイメージがあります。
ですが、実際には小排気量の割に、昨今の軽自動車は車体が大きくなり、車体重量も重くなったのです。
その結果ハイブリッド車や、リッターカーより、燃費が悪いモデルも少なくありません。
イギリスでは、自動車のCO2排出量を基準にした税率を導入しているため、排気量の大小よりも、環境性能にユーザーの判断が左右されているのです。
衝突安全性への不安
現在でこそ、軽自動車の衝突安全性は、普通自動車と同じレベルまでの性能が認められています。
しかし、かつては衝突安全性が劣っていたのは事実です。
特に、日本より速度域の高いアメリカやヨーロッパなどの市場では、軽自動車の衝突安全性に難点があるとされています。
日本の軽自動車に人気が集まるケースもある
日本の各自動車メーカーが、軽自動車をその生輸出するのではなく、各国の実情に合わせた自動車を生産していた例はあります。
インドに設立されたスズキの子会社は、アルトをベースにした「マルチ800」を生産していました。
排気量は、800ccに高められていますが、低価格ゆえに、現地ではヒット商品となり、2014年までの実に30年間も精算されました。
また、ヨーロッパ市場においては、三菱製の「i-MiEV」がフランスのプジョーやシトロエン にOEM供給され、それぞれ「ion」または「C-ZERO」の名で販売されました。
衝突安全性を考慮して、フロントバンパーが大きくなったこと以外は、国内向けの「i-MiEV」とほとんど変わりありません。
「i-MiEV」が受け入れられた理由の一つとして、ヨーロッパで税制上優遇されている「電気自動車」であることが挙げられます。
他にも少数ではあるものの、スズキ製の軽スポーツカーである「カプチーノ」は、イギリスにも輸出されました。
マツダ製「オートザムAZ-1」やホンダ製「ビート」「S660」など、軽自動車規格のスポーツカーは海外でも人気があります。
最後に
いかがでしたでしょうか。
普段は意識することもない軽自動車ですが、実は日本独自の存在だと知ることによって、特別な乗り物に見えてくるのではないでしょうか。
誰でも気軽に乗れる軽自動車は、日本に住む私たちにとって、実はとてもありがたい存在なのかもしれません。
最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。
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