アクセルとブレーキの踏み間違い事故、死亡事故の約7割が75歳以上|原因と対策

「ブレーキを踏んだつもりが、アクセルだった」。ペダルの踏み間違いは、一度起きると、店舗への突入や歩行者を巻き込む重大事故になりやすい事故です。

2025年の踏み間違い死亡事故は全国で46件。そのうち31件、約7割が75歳以上だったと報じられています。この記事では、なぜ起きるのかを分解し、運転者本人と家族、そして車でできる対策を、具体的に整理します。

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数字で見る踏み間違い事故

  • 2025年のアクセルとブレーキの踏み間違い死亡事故:46件
  • そのうち75歳以上:31件(約7割)
  • 75歳以上の死亡事故の人的要因で「操作不適」が占める割合:33.1%(75歳未満は10.7%、約3.1倍)
車の運転席足元のペダル
写真:Tokumeigakarinoaoshima/CC BY-SA 4.0/Wikimedia Commons

踏み間違いは件数全体で見ると多くはありませんが、一度起きると死亡事故に直結しやすい点が特徴です。しかも高齢者の割合が高いため、対策の優先度は高いと言えます。

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なぜ踏み間違いは起きるのか

「ペダルの位置を知らないわけがない」と思うかもしれません。それでも起きるのには理由があります。

1. 慌てたときに「いつもの動作」が崩れる

駐車場でバックしたいときや、前に進みたいときに、予想外の状況(人が来た、後ろの車が待っている)で焦ると、足の動きが雑になります。

「止まらなきゃ」と思った瞬間に、ブレーキではなくアクセルを力いっぱい踏む。踏み間違いに気づいても、パニックでさらに強く踏み込むことがあります。

2. 足の位置が定まっていない

ペダルの中央に足を置いていない、かかとが浮いている、足が左右にぶれる状態だと、踏み分けが難しくなります。

3. 運転姿勢が合っていない

シートが遠すぎたり近すぎたりすると、足の動きが不安定になります。座面が低すぎて前が見えにくく、焦りやすいケースもあります。

4. 靴の影響

厚底の靴や、サンダル、滑りやすい靴は、ペダルの感覚を鈍らせます。

5. 加齢による修正の遅れ

踏み間違いに気づいてから修正するまでの時間が延びることがあります。気づいたときには、もう壁や人にぶつかる直前というパターンです。

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運転者本人ができる7つの習慣

1. 発進前に足元を目で確認する:ブレーキに足が乗っているかを毎回確認

アルミ製のペダル
写真:Michael Sheehan/CC BY 2.0/Wikimedia Commons

2. シフト操作はブレーキを踏んだまま:「踏んで、入れて、確認して、離す」を習慣にする

3. かかとを床に付ける:ペダルの踏み分けが安定する

4. シートの位置を調整する:ひざが軽く曲がる程度。ペダルを奥まで踏み込める距離

5. 底が薄くて滑りにくい靴を選ぶ

6. 駐車場では「ゆっくり」を最優先に:前進・後退の切り替え時は、いったん止まって確認

7. 急に止まらなければならない場面を減らす:焦るほどミスが増えるため、時間に余裕を持って出発

「前向き駐車」「バック駐車」どちらが安全か

状況によります。店舗の壁やガラスの前に前向きで止める場合、踏み間違えると壁に向かって突入する危険があります。バックで入れる(前方が空く)ほうが、万一のときに被害が軽いという考え方があります。一方、バックは後方確認の負担が大きくなります。「車止めがある場所」「前方が壁や歩行者通路の場所」では、特に慎重に判断してください。

車側の対策:安全装置の選択肢

  • ペダル踏み間違い時加速抑制装置:発進時や低速時に、アクセルを強く踏み込んだ場合に出力を抑える装置
  • 衝突被害軽減ブレーキ:前方の車や歩行者を検知して、警報や自動ブレーキで衝突を避けたり被害を軽くしたりする装置
  • この2つを工場出荷時に備えた車は、サポートカーとしてサポートカー限定免許の対象になる場合があります
  • すでに乗っている車なら、後付けの装置も選択肢です(後付け装置と自治体の補助)

警察庁も注意しているように、これらの装置には限界があり、高い速度では十分に機能しない場合があるため、「付いているから安心」と過信しないことが大切です。

家族ができる声かけ

踏み間違い事故は、本人が一番ショックを受ける事故です。責めるのではなく、次のように話してみてください。

  • 「最近、駐車に時間がかかるって言ってたね。一緒に練習してみようか」
  • 「次の車検のタイミングで、安全装置付きの車を見てみない?」
  • 「靴は、運転用に1足用意しておくのはどう?」

運転自体を急にやめさせようとするより、具体的な対策を一緒に選ぶほうが、受け入れられやすくなります(家族が話し合う進め方)。

よくある質問

Q. 踏み間違いは認知症と関係がありますか?

一概には言えません。認知機能の低下が背景にあることもありますが、健康な人でも焦ったときに起こります。心配なときは、免許更新時の検査や、かかりつけ医への相談を検討してください。

Q. AT車でも、左足でブレーキを踏んでよいですか?

一般には、AT車は右足でアクセルとブレーキを踏み分ける運転が基本とされています。左足ブレーキは、慣れていない人にはかえって踏み間違いのリスクがあるため、自己流で変えるのは避けてください。

まとめ

  • 2025年の踏み間違い死亡事故46件のうち31件(約7割)が75歳以上
  • 原因は、慌てたときの動作の乱れ、足の位置、姿勢、靴、修正の遅れなど
  • 本人の習慣(足元確認・かかと・靴・シフトはブレーキを踏んで)で減らせる部分が大きい
  • 車の安全装置は有効だが、過信は禁物

情報源

  • ベストカーWeb 2026年10月2日付(bestcarweb.jp/?p=1638995):警察庁の令和8年上半期統計と2025年の踏み間違い死亡事故件数に関する報道
  • 警察庁「サポートカー限定免許」ページ(npa.go.jp/policies/application/license_renewal/support_car.html):装置の限界についての注意

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