「運転技能検査に合格しても事故は減らない?」75歳以上の免許更新で何が見直されるのか

75歳以上の免許更新で課される「運転技能検査」。2022年5月に始まり、合格しないと更新できない仕組みです。ところが2026年7月、検査に合格した人のほうが、検査を受けずに済んだ人より事故が多かったという追跡調査が報じられ、警察庁が内容の見直しを検討していると伝えられました。

「じゃあ検査は意味がないのか」と結論を急がず、制度の中身と、数字の読み方をていねいに見ていきます。

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そもそも75歳以上の免許更新はどう変わったのか

75歳以上の更新の流れは、一般に次のとおりです。

自動車教習所の建物
写真:Mzaki/CC0/Wikimedia Commons

1. 認知機能検査:記憶力や判断力を確認する(認知症のおそれがあると判定された場合は、医師の診断などの手続きがある)

2. 高齢者講習:運転適性の検査と、実車指導など

3. 運転技能検査:過去3年間に一定の違反歴がある人が対象(2022年5月から)

運転技能検査は、速度の調整、信号や一時停止の遵守、右左折、方向変換など、実際のコースを走って採点されるとされています。基準に達しなければ更新できません。この点が、受けるだけで済む高齢者講習との大きな違いです。

検査の対象は「一定の違反歴のある人」で、違反歴がなければ検査は課されず、高齢者講習の実車指導で済みます。

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追跡調査で何が分かったのか

報道によると、警察庁の追跡調査(2023年5月15日〜8月31日)は、検査合格者5,270人と、実車指導の受講者8,233人を比べたものです。10万人当たりの事故件数は次のとおりと報じられました。

年齢 実車指導受講者 検査合格者 倍率
75〜79歳 322件 1,457件 約4.5倍
80〜84歳 557件 1,284件 約2.3倍
85歳以上 792件 2,086件 約2.6倍

違反件数でも、合格者のほうが約1.7〜2.2倍多かったとされます。

この結果を受け、有識者検討会が2026年7月8日に会合を開き、8月中に見解をまとめる予定と伝えられました。その後の最終的な見直し内容は、この記事の執筆時点では確認できていません。

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数字をそのまま信じてはいけない理由

「検査に合格した人のほうが事故が多い」と聞くと、検査が逆効果のように思えます。しかし、次の点に注意が必要です。

横断歩道と交差点を走る車
写真:nakashi from Chofu, Tokyo, JAPAN/CC BY-SA 2.0/Wikimedia Commons

1. もともとの集団が違う

検査の対象は過去3年間に違反歴がある人です。違反歴のある人は、そうでない人より事故のリスクが高い可能性があります。つまり、この比較は「同じ条件の2グループ」ではなく、リスクの高い人たちが検査を受けて合格した集団と、そうでない集団の比較です。

2. 「合格」はリスクがなくなったという意味ではない

検査はあくまで一定の基準を満たしているかを見るもので、将来の事故をゼロにする仕組みではありません。見落とされる人がいるというのが、見直しの趣旨と考えられます。

3. 検査の項目が事故の原因をカバーしているか

報道では、検査で測っている項目が、実際の事故につながる運転行動と十分に対応していない可能性が指摘されています。たとえば、高齢者の死亡事故で目立つ車両単独事故や操作不適を、コース走行の採点でどこまで見抜けるかは、検討課題とされています。

検査に合格した後に、本人と家族ができること

検査の合否にかかわらず、運転の安全は日常の積み重ねで決まります。

  • 合格したあとも、年に1回は家族が同乗して様子を見る
  • 駐車や車線変更でのヒヤリが増えたら、条件を絞る(夜間・雨・高速は避ける)
  • 踏み間違い対策の車や装置を検討する(踏み間違い事故の記事)
  • 運転する車を限定するサポートカー限定免許を検討する(サポートカー限定免許の記事)
  • 続けるのが不安になったら、免許返納の手続きを調べておく

よくある質問

Q. 検査に不合格だったら、もう運転できませんか?

更新期間のうちは、一定の条件で再度受検できるとされています。受け方や回数は、お住まいの都道府県の警察の案内でご確認ください。

Q. 検査は誰でも受けますか?

いいえ。過去3年間に一定の違反歴がある人が対象です。違反歴のない人は、高齢者講習で更新できます。

Q. 見直しはいつから始まりますか?

最終的な内容と時期は、この記事の執筆時点で確認できていません。警察庁や各都道府県警察の発表をご覧ください。

まとめ

  • 運転技能検査は、75歳以上で違反歴のある人が更新時に受ける実技の検査(2022年5月〜)
  • 追跡調査では、合格者のほうが事故・違反が多いと報じられ、見直しが検討されている
  • ただし比べている集団の条件が違うため、「検査は無意味」とは言えない
  • 検査の結果に関係なく、家族の同乗確認と、運転条件を絞る工夫が大切

情報源

  • 乗りものニュース(trafficnews.jp/post/686578)2026年7月13日付:警察庁の追跡調査と有識者検討会に関する報道
  • 数値は報道で引用された値です。原資料は警察庁の公表をご確認ください。

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