75歳以上の死亡事故が2年連続で増加|2026年上半期の警察庁統計を読み解く

2026年7月に警察庁が公表した「令和8年上半期における交通事故の発生状況」で、75歳以上のドライバーが第1当事者となった死亡事故が202件と、前年同期(177件)から約14%増えたことが報じられました。

「また高齢者の事故か」で終わらせてしまうと、見えなくなるものがあります。この記事では、数字の中身を分解し、「なぜ起きるのか」「家族や本人に何ができるのか」まで具体的に整理します。

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2026年上半期の数字を整理する

  • 対象期間:2026年1月〜6月
  • 75歳以上が第1当事者の死亡事故:202件(2025年同期は177件。25件増、約14.1%増)
  • 免許保有者10万人当たり:75歳以上は2.4件、75歳未満は1.1件(約2.2倍)
  • 参考:2016年上半期は218件(10万人当たり4.6件)
並んで歩く日本の高齢の夫婦(後ろ姿)
写真:Marie-Sophie Mejan/CC BY 4.0/Wikimedia Commons

件数だけ見ると2016年より少ないため、「長期的には減ってきた」ことも事実です。警察庁が6月に公表した推移では、免許保有者10万人当たりの死亡事故件数は、75歳以上で2014年の10.5件から2025年の4.8件へ、約半分に減っています(75歳未満は4.1件から2.5件)。

一方で、2026年上半期は2年連続で増加に転じ、減少傾向が止まったのか、一時的な揺れなのかが注目される局面です。半年分のデータだけで原因を断定することはできません。

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事故の「型」に見える特徴

75歳以上の死亡事故202件の内訳は、報道によると次のとおりです。

類型 件数
車両単独 85件(42.1%)
車両相互 77件
人対車両 38件
列車事故 2件

75歳未満の死亡事故では、車両単独は839件中201件(24.0%)でした。車両単独の比率は75歳以上のほうが約1.8倍です。

相手がいない事故が多いということは、「他の車に巻き込まれた」ではなく、自分の操作や判断が事故の直接の原因になりやすいことを示唆します。実際、2025年の人的要因では「操作不適」が75歳以上で33.1%、75歳未満で10.7%でした。ハンドル操作の誤りや、アクセルとブレーキの踏み間違いがその代表です。

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加齢で変わりやすい「運転の力」

個人差は非常に大きいものの、一般に次のような変化が起こりやすいと言われています。

新宿駅付近の道路を走る車の流れ
写真:Sergiy Galyonkin from Raleigh, USA/CC BY-SA 2.0/Wikimedia Commons

1. 反応までの時間が延びる:危険に気づいてからブレーキを踏むまでが遅くなる

2. 同時に複数のことを処理しにくくなる:交差点で信号、歩行者、対向車、標識を同時に見る場面で負担が増す

3. 視野が狭くなる/暗い場所で見えにくくなる:夕方や夜間の歩行者の発見が遅れやすい

4. とっさの操作を誤りやすくなる:焦ったときに、踏む足の位置や強さを誤る

大切なのは「年齢でひとくくりにしない」ことです。75歳を超えても慎重に運転を続けている人は多く、逆に若くても居眠り運転やスマホ操作で事故を起こす人はいます。本人の運転の実態を、客観的に見てみることが出発点です。

家族ができる「運転の見える化」

次の3つは、今日から始められます。

1. 同乗して確認する

駐車場での切り返し回数、車線変更の際の確認、一時停止の止まり方、右折時の対向車の待ち方を、助手席から見てみてください。「危ない」と言う前に、具体的な場面を覚えておくと、後の話し合いがスムーズです。

2. 小さな「ヒヤリ」を聞く

ボディの擦り傷が増えた、道に迷うことが増えた、信号を見落としかけたなど、本人も不安を感じていることがあります。責める口調ではなく、「最近運転して疲れない?」と聞くことから始めます。

3. 条件の悪い運転を減らす

夜間、雨天、高速道路、慣れない道は、運転の負担が大きくなります。運転をやめるか続けるかの二択にせず、「条件を絞る」という中間の選択肢を用意すると、本人も受け入れやすくなります。

車と免許でできる備え

よくある質問

Q. 75歳になったら、免許は自動的に更新できなくなりますか?

いいえ。75歳以上でも、免許更新時の認知機能検査や高齢者講習などを受けて更新できます。年齢だけで免許が失効することはありません。更新時の検査については運転技能検査の記事で詳しく扱っています。

Q. 統計の「第1当事者」とは何ですか?

事故の当事者のうち、最も過失が重い人(過失が同程度の場合は被害が軽い人)を指す統計上の区分です。第1当事者であることと、事故の原因のすべてが本人にあることは同じではありません。

Q. 家族が反対しても、本人が運転を続けたいと言ったら?

免許を持つかどうかを最終的に決めるのは本人です。ただし、運転に危うさがあるのに話が進まないときは、親に免許返納を切り出す記事の進め方も参考にしてください。

まとめ

  • 2026年上半期、75歳以上が第1当事者の死亡事故は202件で、前年同期比約14%増
  • 免許保有者当たりの件数は75歳未満の約2.2倍で、車両単独事故の比率も高い
  • 長期的には減ってきたが、2年連続の増加で「このまま減らせるか」が問われている
  • 年齢で決めつけず、運転の実態を見える化し、車・条件・免許の中間策を使うことが現実的

情報源

  • 警察庁「令和8年上半期における交通事故の発生状況」(2026年7月公表)に関する報道:ベストカーWeb 2026年10月2日付(bestcarweb.jp/?p=1638995)
  • 件数・割合は報道で引用された値です。最新の確定値は警察庁の公表資料でご確認ください。

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